2009年02月14日

ポトスライムの舟

芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』を読んだ。
工場で派遣労働者として働く30歳の独身女性がおりなす、ワーキングプア物語。物語とは言うものの、登場人物も道具立ても舞台設定も、どこまでも日常的で、戦いも殺人もロマンスも発生しない。ということは僕にとって退屈な部類に入る小説ではあるんだけど、こぎれいにまとまっていて何となくおもしろみもあった。例えて言うなら、まさにポトスの茎をコップに挿して育てるような。

戦いも恋愛もない小説を読んで面白いと思えるくらいには僕も大人になったのかも知れないし、就職氷河期モロかぶりの主人公(≠作者)の年齢や題材が、単純に今の僕に身近な物だったからかも知れない。

しかし総じて退屈なことに代わりはなく、村上龍の言う「繰り上げ当選」というのが、(本人には厳しいだろうけど)妥当なセンなのかな、と思った。

posted by 朱雀 at 18:46| Comment(81) | TrackBack(1) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月13日

思考の整理学

思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫): 外山 滋比古: 本

最近の仕事術、ライフハック系の参照本として話題になり、本屋で妙に平積みプッシュされてるので買ってみました。
まあ、それなりに面白いです。ただそこまで絶賛するほど面白かったりためになったりするわけではなく…。大学の面白い教授の一般教養の話を聞いているような気分です。

★★★
posted by 朱雀 at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 知識、雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月11日

自分探しが止まらない


自分探しが止まらない (ソフトバンク新書 64): 速水 健朗: 本

「自分探しのたびに出る」と称して現役引退、流浪の旅ビジネスを続けるナカタや須藤元気に始まり、「あいのり」のヒット、「外こもり」など、若者の「自分探し」の構造を網羅した本。

ヒット商品の背景には、この「自分探し」や「自己啓発」のモチーフが隠れているという指摘は興味深い。
「あいのり」の登場人物たちが口をそろえて言う「○○はありのままの自分を認めてくれる」「自分の気持ちに嘘をつきたくないから、告白をする」といった発言に象徴されるような自己承認欲求には、“本当の自分探し”症候群が潜んでいる。そしてこれが多くの若者の共感を呼んでヒットした、など。

あるいは人気ブロガーの梅田望夫の説く「Googleが作る新しい世界」式の言説に潜む、シリコンバレーのニューエイジャー達の終末思想、「ハルマゲドン2.0としての梅田望夫」。

あとは世代論としても面白かった。
『ねるとん』的な80年代を生きた、現在40〜50代の上司と、『あいのり』的な現代の若者との会話で、
「おまえ、彼女と食事するときにはどこへ連れて行くんだ」
「デニーズとか、ですかねぇ」
「何やってんだお前!? フラれるぞ!」
この世代にとっては、「デートと言ったらドライブして夜景の見えるちょっとイカシたレストランにでも連れて行かないと、女に見切りをつけられる」というという先入観があるのだが、現代の価値観から見るとそんなバブリーな行動はコントでしかなく、むしろ「かっこ悪い」のであった。

★★★
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2008年09月30日

ホーリーランド(17)(18)

再開の第1発目がまんがですみませんが…。ホーリーランドの最終巻です。

ホーリーランド 17 (17) (ジェッツコミックス): 森 恒二: 本

ホーリーランド 18 (18) (ジェッツコミックス): 森 恒二: 本

いや、すまなくないぞ。まんがは総理も読んでいる日本人の国民的娯楽である。大人の鑑賞に堪えうるまんがを生産し、それを楽しめるというのはよほど文化的民度の高い国でないとありえない。

…話がそれた。ホーリーランドである。

17巻が最高傑作だと感じた。この巻で、これまで長いあいだ廃人になっていたショウゴがとうとうその真の実力を発揮する。この巻に収録されている一連の物語は、まさにこの物語のクライマックスにふさわしい、著者渾身のストーリー展開だった。ユウの成長、ショウゴとの反目と友情、空手の真価が全てここに凝縮し、昇華し、伏線もきれいに回収された。
空手を修めている自分としては、空手家であるショウゴというキャラに一番肩入れしていたのだけど、中盤以降は廃人同然になっていて、見ていてつらかった。その分、最後の最後にユウとの友情と、自らの輝きを取り戻したショウゴの勇姿の美しさ、そして悲しさとに、胸が締め付けられるような感慨を覚えた。

それに比べると18巻は、物語の回収に回っている巻なので、17巻のような興奮はなかった。ただ、うまくまとまっている。多くの読者が納得できる綺麗な終わり方だったのではないだろうか。
このまんがが8年も続いていたことをちょっと意外に思うと同時に、打ち切りでも破綻でもなく、ここまで鮮やかに終わったことが素晴らしいと思った。


以下、微ネタバレ。
(余談だけど、Amazoレビューで「神代死亡説」を唱えて勝手に怒ってる奴らはいったいどんな読解力をしているのだろう? まんがの読み方から教えないといけないのか。伊沢(妹)と待ち合わせしてたり、最後に腹の傷跡を見せたり、どう読んでも神代と分かるように描かれているじゃないか。あれ以上わかりやすく書くんだったら、名札でも付けないといけなくなるぞ。連載で読んでて、最後の1つ前の話までしか読んでないのかな?そのくらいの謎レベル。)
ラベル:5
posted by 朱雀 at 23:37| Comment(4) | TrackBack(0) | このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月05日

お金は銀行に預けるな



お金は銀行に預けるな
  • 作者: 勝間和代
  • 発売日: 2007/11/16
  • 読了日: -
  • 私的評価: ☆☆☆☆



私たちは、自分のお金を労働力で稼ぐ、自分で稼いだお金を消費する、というやり方にはとても慣れているのですが、自分のお金が自分以外のところで稼いでくる、あるいは自分で稼いだお金を消費という形ではなく投資をするという考え方には、今一つなじみ切れていません。(本文より)
自分のお金は自分でコントロールする----。年金不安、所得格差が進む中、私たちが身につけなければならない能力は。
家計の将来に備え、「自分の安心を買い」「生活をよりよくする」ために必要な考え方とノウハウを、第一人者が分かりやすく解説。

ベストセラー常連作家、勝間和代氏による、ビジネス啓発書以外の著作。というかもともとこっちの方が専門なんですよね。
「貯金」や「保険」も投資のひとつであると言うこと、貯金以外の投資の具体的な選択肢など、投資という概念の基礎的な理解を深めることができる入門書。この本を読んで「よし株をやろう!」と思っても多分大火傷するけど、入り口としては読みやすく、貯金以外の投資について今までまったく考えたことがない人に最適。
ちなみに僕はこの本を読んで「よし投資信託をやろう!」と思いました。
ラベル:Finance 4
posted by 朱雀 at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月24日

2月に読んだ本

結局、読んだのに感想を書いていない本が増えてきたので、ここにリストを書いて備忘録とします。
本を読んでないわけじゃないんですよ。一応…。

2月24日までに読んだ本

○コミック
・よつばと!(1〜7)

○小説
・殺戮に至る病
・コインロッカー・ベイビーズ(上)
・空の境界線(上、中)

○技術、WEB
・Web標準XHTML+CSSデザイン クリエイターが身につけておくべき新・100の法則
・WEBデザイン

○ビジネス、実用
・脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める
・朝30分を続けなさい!
・レバレッジ時間術
・お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践
・物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン

ぼちぼち感想も書いていきます。というかなんだこれ。書かずに放っておきすぎだろう、俺…。
posted by 朱雀 at 00:11| Comment(0) | TrackBack(1) | このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月06日

Web制作現場の憂鬱




WEB業界では、制作にしろシステム開発にしろ、顧客に無理な要求を突きつけられて、悲惨で不毛な徹夜作業になることがままある。(デスマーチ)。

(微ネタバレ)
で、これはそんな体験談を面白おかしく本にした…はずなんだろうけど、なんだか全体的に延々とグチっているだけなので、面白いというより憂鬱になる。

筆者が会社を辞める直接の契機となった無能な同僚についても、散々足を引っ張られた挙句、最後にどんでん返しでやりこめたり、そいつが辞めたりするわけでもなく、筆者が「後は他の人に任せた!」と言って会社を辞めるという結末。最後まで読んでも何のカタルシスもなしだったら、ストーリー仕立てにする意味もない。

WEB業界の人に向けたノウハウとしても乏しく、業界外の人や業界を目指す人に向けた紹介としては中途半端。せいぜい「こうならないように気をつけよう…」と流し読みするくらいの非建設的な本。

★☆☆☆☆
ラベル:1 web
posted by 朱雀 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月20日

ご挨拶

新規ブログアカウントを作成しました。
ここでは、読んだ本の感想をひたすら書き連ねていく所存です。
メインブログのほうでも、たまに書評めいたものを書いたりしているんですが、「良い本だけ…」と考えていると、ハードルがあがってついつい描き損ねたりしてしまうので、ここでは良い本も悪い本もとにかく読んだら感想を書いていくことにします。ただしお勧めレベルも明記します。
posted by 朱雀 at 19:35| Comment(0) | TrackBack(0) | このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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